2018年7月10日火曜日

今日の本 19


step

Eguchi Hisashi Illustration Book

 最近、こんなの買いました。

おわり。










  と言う訳にもいかないだろうから、もう少し書かせて貰う。
   今回買った「step」は、漫画家であり、イラストレーターでもある江口寿史氏の最新の画集である。
自分と江口氏の作品との最初の出逢いは、彼の最初の連載漫画である「すすめ‼ パイレーツ」だった。たしか自分の小遣いで初めて買った漫画が江口氏の「すすめ‼ パイレーツ」と、手塚治虫氏の「ブラック・ジャック」だったと思う。「パイレーツ」が週刊少年ジャンプで連載開始したのが1977年(昭和52年)で、ジャンプ・コミックスの第1巻の発行が1979年(昭和54年)の1月だから、今から約40年前になる。自分はそれ以来ずっと江口氏のファンだったのだ。でもその40年の間に、彼は漫画家と言うよりイラストレーターとしての仕事が多くなってしまった。だから最近は彼の漫画はほとんど読んでいない。この画集の前に買ったのは、同じ河出書房新社から発行された「江口寿史の正直日記」の文庫版だったりする。
   今回の画集を見て思ったのは、とにかく絵が上手過ぎって事。「パイレーツ」の頃の絵は素人の自分でも真似して描く事が出来たけど、今の彼の絵は多分誰にも真似の出来無い次元に到達していると思う。「最新の作品が最高の作品」と言うのは、何かの会社のキャッチコピーだったような気がするけど、正にそれなのだ。しかも、絵のセンスが凄く斬新で若々しい。多分彼は、常に他の人の新しい作品に目を向けながら、その技術やセンスを貪欲に吸収して自分の物にして来たのだろう。その仕事に対する姿勢は、(色んな意味で)とても還暦を過ぎた人には見えない。彼はこの画集のあとがきにこう記している。
「70歳を過ぎてから更にその筆切れっ切れになり代表作を更新し続けた葛飾北斎、60どころか死ぬまで若い女を求め続けたパブロ・ピカソ(そこかい!)。そんな歴史的偉人たちに自分をなぞらえるほど身の程知らずじゃありませんが、そういう往生際の悪さきわまりない先人達がいたというのは希望を与えてくれるじゃないですか。  (中略)   ステップというのはまあ、おわかりと思いますが、ホップ、ステップ、ジャンプのステップです。文字通りの意味で。これから迎える70代に向けての更なるジャンプの前に1歩下がって間合いを計るという意味合いもあります。僕はようやくホップの時期を終えたところなのでしょうか。いや、実はまだそれさえも始まってないのかもしれません。」
   江口氏のそういった完全主義者的な部分が、過去に漫画家としての彼を追いつめてしまったのかも知れない。でもきっと彼はこれからも漫画を含めた様々な形の作品を世に送り出し続けてくれるはずである。
   ところでこの画集、初版には特典が有ったらしいのだが、自分が手に入れたのは残念ながら第2刷だった。でも画集で2ヶ月程で増刷がかかるって相当売れてるって事だよね。ま、当然と言っちゃ当然だけど。

2 件のコメント:

さんのコメント...

私も江口寿史と出逢ったのは『パイレーツ』でした。同じですねって、年が違うよね(笑)。
じつは息子と一緒に熱狂的に読みました。でもあれ以後、彼はあまり漫画を描かなくなって、息子に「どうしたの?」て訊いたら、「精神を病んでいるらしい」と言うのでさもありなんと思って、それからすっかり忘れていました。
そしたら今年だったか女の子のイラストの展示会をやっていて、『全イラストレーション集』というのを出しているのがわかったけれど高い!で息子にメールで本を持っていか訊いたら持っているという。「じゃ今度見せてね」と言ったきり何カ月か経ったところです。
気が利く息子だったら、それを送ってくれるか、新しく買ってくれればいいと思うけれど、どうともなっていません(笑)。『STEP』はちょっと頑張れば買える値段ですね。考えてみます。

かねぽん さんのコメント...

春さんもご存知だったんですね。
江口寿史氏はパイレーツの後も漫画を描いていたんですが、連載漫画だと途中で落稿してそのまま打ち切りになるパターンが続いて、まともに完結した連載作品は無かったと思います。それでも読み切りや4コマは描いてましたし、漫画雑誌の編集長をやったり、アニメのキャラクターデザインを担当したりして、それなりに精力的な活動をしてました。ただ、次に何をやるか全く予想出来無いんですよね。知らない内にいつの間にか新しい本が出版されてるって事も多いです。それから、元アイドルの水谷麻里と結婚してたって事もつい最近知りました。