2020年8月31日月曜日

紅鷹 その2


ベニタカ
紅鷹
Thelocactus heterochromus


サボテン科テロカクタス属。
メキシコ原産。

   2016年8月に長野県飯田市のM氏より入手。
3.5号プラ鉢で栽培。
   株の直径は刺を含めないで10cmくらい。花もだいたい同じ大きさ。

2020年8月30日日曜日

太平丸ニコリー


タイヘイマル
太平丸
「ニコリー」
Echinocactus horizonthalonius
 “nicholii”


サボテン科エキノカクタス属。
アメリカのアリゾナからメキシコ北西部のソノラ沙漠原産。

   2016年6月に新潟県柏崎市のK氏より入手した株。今年2度目か3度目の開花。サボテンが咲くたびに逐一ブログに上げているわけではないので、正確な回数は分からないが、少なくとも一度、6月に開花している。太平丸はカボチャのような愛らしい形の茎に強烈な刺が生え、大きく美しい花が咲く。茎はほどほどの大きさで成長が止まるので、あまり場所をとらない。これで少し気難しい所がなければ理想のサボテンと言っても良いのだが。


2020年8月29日土曜日

大鳳玉 その2


タイホウギョク
大鳳玉
Astrophytum capricorne var. crassispinum


サボテン科アストロフィツム属。
メキシコ原産。

    この株も今年3度目の開花。刺が太くて長くて見事な個体。


     8月になってから真夏日や猛暑日が続いていて、高温を好む種類はぐんぐん成長し、何度も花を咲かせている。その一方で成長が止まって球体が萎んでしまったり腐ってしまう株もある。特に気に入っている株、大事にしている株、高価だった株、貴重な種類ほど駄目になるのも早かったりする。本来原産地や棲息環境が違う種類を同じ栽培条件で管理するのは無理があるのだろう。

2020年8月28日金曜日

今年の華仙玉 その3


カセンギョク
華仙玉
Matucana calliantha


サボテン科マツカナ属。
ペルー原産。

華仙玉に今年3度目の花が咲いた。

   普通、サボテンの花は日光にあたっている間だけ花弁を開く種や、一夜限りしか咲かない種が多いが、この仲間は24時間以上花が咲きっぱなしになる性質を持つ。これは同じような形状の花を咲かせるシャコバサボテンにも見られる特徴で、ポリネーターが共通している為に起こった収斂進化だと思われる。

2020年8月27日木曜日

渡辺力氏のデザイン力


セイコー
プレザージュ
SARW055


SEIKO
PRESAGE
SARW055


    2020年6月にセイコーから発売された琺瑯ダイアルの腕時計。渡辺力氏のデザイン。白い文字盤に黒のバーインデックスの組み合わせはシンプルだが時刻を読み取り易い。バーの長さは文字盤の半径のちょうど3分の1で、この計算された絶妙なバランスが素晴らしいと思う。6時位置には日付が針で表示され、9時位置にはパワーリザーブインジケータがある。100m防水のケースはステンレス製で直径は約40mm、厚みは約12mm、ラグの幅は20mm。風防と裏蓋はサファイア。ネイビーブルーの馬皮製ベルトが軽快で爽やかな印象を与える。





   ムーブメントは自動巻きの「6R27C」。29石の8振動/秒(4hz)。パワーリザーブは45時間。




   またセイコーの琺琅ダイアルを買ってしまった。6R27Aを搭載した時計を既に持っているので、どうせ中身はたいして違わないのだから今回はスルーしようかとも思ったが、渡辺力氏のデザインの誘惑には勝てなかった。まるで圧力計のような、実用一辺倒のいかにも工業製品然としたデザインは毎日使う道具に相応しいものだと思う。美食家が「美味い料理はすぐ飽きる」とか言うのに通じる部分があるかも知れない。


2020年8月26日水曜日

なごり雪


ガステリア
「なごり雪」


Gasteria  “Nagoriyuki”

ススキノキ科ガステリア属の交配種。

2015年9月にヤフオクで入手した株。
出品者様はハオルチアの栽培で有名なvenustaさんこと土屋氏。日本多肉植物の会理事で、あのハオルチアアカデミー写真集の編集委員代表をされていた方である。

そのなごり雪に、初めて花が咲いた。



▲5年間栽培していて初めて見る花。

    先日咲き始めた恐竜の実生と交配してみようかと思っている。本当は斑入りの臥牛とも交配したかったのだが、何者か(多分ミカドフキバッタ)に花茎を齧られてしまったので今年は諦めるしかないようだ。


2020年8月25日火曜日

蝦夷肩広筬虫


エゾカタビロオサムシ

Campalita chinense



   鞘翅目オサムシ科エゾカタビロオサムシ属。

   主に蛾の幼虫等を食べる肉食性の甲虫。オサムシ科の多くは後翅が退化して飛ぶ事が出来ないが、カタビロオサムシ類は後翅が残っていて飛ぶ事が出来る。

近所の街灯に来ていたエゾカタビロオサムシ。この種がよく街灯にやって来るのは、カブトムシのように灯りそのものに引き寄せられる習性があるのか、それとも車に轢かれた虫の死体等の匂いを感じ取ってやって来るのか、どちらなのだろうか?





▲こちらは上の写真とは別の個体。


   カタビロオサムシ類は農作物の害虫であるヨトウムシ等の蛾の幼虫を食べるので、益虫として紹介される事が多い。でも実際は彼等が一生の間に食べる虫の数なんて高が知れている。ちょっと買い被り過ぎなんじゃないかと思う。

2020年8月24日月曜日

山繭蛾


ヤママユ(♀)
Antheraea yamamai


鱗翅目ヤママユガ科ヤママユ属。

   ヤママユガ、テンサンとも称される、大きく美しい蛾。幼虫はブナ科の樹木の葉を食べる。卵で越冬する。


   近所の街灯に飛んできたヤママユの雌。翅の破れや鱗粉の欠落が少なく、羽化してから間もない個体だと思われる。

2020年8月23日日曜日

猫こけし14匹目


梅木直美さんが作った猫こけし


   沢山の果物に囲まれて満足気な表情の新入りさん。胴の模様は旭菊。葡萄色の轆轤線が鮮やかでお洒落。

    この猫こけしも埼玉県のKさんから里子に出された子。顔見知りと新しい仲間が大勢いるから寂しくはないはず。

2020年8月22日土曜日

大王蠍


ダイオウサソリ
Pandinus  imperator


サソリ目コガネサソリ科Pandinus属。
     アフリカ大陸中西部の熱帯雨林に棲むサソリ。


と言ってもこれは海洋堂から2019年2月に発売された「リボジオ」シリーズ第1弾のフィギュア。


   ▲ダイオウサソリの特徴でもある大きな触肢は可動式。4対ある脚は固定式。口元の小さな鋏角もちゃんとリアルに再現されている。前体(頭胸部)上部中央の1対の中眼や前部側面にある3対の側眼も一応再現されているが、小さくてよく見ないと分からない。





▲大きさはこれくらい。これでだいたい実物大らしい、生きている実物をこんな風に持ったら尾節の毒針で刺されているはず。






▲中体(前腹部)下面にある1対の櫛状板という感覚器官の大きさやその基部にある生殖口蓋の形状で雌雄を判別出来るらしい。これは櫛状板が小さいので多分雌。4対のスリット状の気門の奥には書肺と呼ばれる呼吸器官がある。






   ▲尻尾のように見えるのは、終体と呼ばれる腹部の一部で、その先端に肛門がある。赤い部分が毒針のある尾節。





   ▲ダイオウサソリは一般に世界最大のサソリと云われているが、カメルーンのオオダイオウサソリ(Pandinus dictator)や、インドのインディアンジャイアントフォレストスコーピオン(Heterometrus swammerdami)の方が大きくなるらしい。

いや、自分はよう知らんけど。

2020年8月21日金曜日

森青蛙?


モリアオガエル
Rhacophorus  arboreus


無尾目アオガエル科アオガエル属。


    家の近くでモリアオガエルを見つけた。手の上に乗せて顔を正面から撮影しようとすると、すぐに向きを変えてしまう。しかもスマホのカメラは常に遠景に焦点を合わせようとするので中々上手く撮影出来ない。


   虹彩が金色をしているので最初はシュレーゲルアオガエル(R.schlegelii)だと思った。


   でもシュレーゲルより鼓膜が大きく、水掻きが発達していて、背中のぶつぶつが目立つので、多分モリアオガエルだと思う。


紛らわしいなあ。


   正直に言うと、実は自分はまだシュレーゲルアオガエルを見た事がない。


2020年8月20日木曜日

雀蜂三種


「すずめばち」


    6月にバンダイからガシャポンの新製品としてスズメバチのフィギュア3種が発売された。





オオスズメバチ
Vespa mandarinia







キイロスズメバチ
Vespa simillima xanthoptera







クロスズメバチ
Vespula flaviceps







大きさはこのくらい。でかっっ!!


   オオスズメバチで実物の3~4倍で、キイロスズメバチは4~5倍、クロスズメバチは6倍くらいだと思う。





ポーズを変える事も出来る。


▲これはアタックモード。





▲これは飛行モード。




    またもや面白過ぎる新製品を開発してくれたバンダイさん。本当に偉くて立派でMarvelousだと思う。日本には外来種を含めて17種のスズメバチがいるらしいので、出来れば全部発売してくれる事を熱望する。無理なら自分で改造しちゃうという手もあるけど。


2020年8月19日水曜日

小さい大蜥蜴


      ビバリウムガイド  No.90           
      VIVARIUM  GUIDE        
        2020年秋号               


令和2年8月3日発売。
株式会社エムピージェー発行。



  ビバリウムガイド(VIVARIUM  GUIDE)は、株式会社エムピージェーが年4回発行する季刊誌。
   1997年、月刊アクアライフの増刊号として創刊。2017年の通算77号から正式に雑誌コードを取得し、独立季刊誌になっている。
    内容は、主に爬虫類や両生類の飼育に関する記事と写真だが、たまに蜘蛛やサソリ等の陸棲の無脊椎動物を取り上げる事もある。


    今回の特集は「ドワーフモニター」と題して小型のオオトカゲ類を取り上げている。執筆はいつも通り編集長の冨水明氏。
    爬虫類ハンター加藤英明の現地レポートは「オーストラリアの自然と動物」と題して、あの高価な爬虫類の代表、陸の錦鯉とも言える「マツカサトカゲ」を取り上げている。加藤氏が現地に行ったのはコロナ禍の前の3月だったらしいが、さすがに今は海外への渡航は出来ないので、最近はYouTubeで国内で撮った動画を配信している。爬虫類だけでなく魚や虫についても詳しくて、自分もつい夢中になって見入ってしまった。


2020年8月18日火曜日

猫こけし13匹目


   茗荷の花に囲まれて何故か御満悦の表情の猫こけし


    いつもお世話になっている埼玉県のKさんの元から引っ越してきた猫こけし。胴の模様は重ね菊。

茗荷の初物は早速味噌汁で御馳走になった。

2020年8月17日月曜日

鈴蜂 その4


   スズバチの巣が何者かに破壊されていた。


   朝、鉢植えに水遣りをした時には異常が無かったのだが、夕方になってもう一度水遣りをする為に行ってみたら既に壊された後だった。
   近くに置いていた盆栽の姫リンゴの実も食い荒らされていたし、庭木のハマナスの実も種子がまき散らかされていたので、おそらく猿の仕業だと思う。巣の中にいたはずの蛾の幼虫やスズバチの幼虫はどこにも見当たらなかったので、それも猿が全部食べてしまったに違いない。
   しばらく見かけていなかった親蜂が近くを飛んでいるのに気付いたが、もしかしたら巣が完成した後でも時々保守点検に訪れていたのかも知れない。

   スズバチの成虫は蝶や蛾の幼虫を捕まえて麻酔をかけ、それを泥で作った精巧な巣の中に生きたまま保存して自分の子供達の食料とする。こんなに小さな生き物に、何故こんなに手の込んだ事が出来るのか、自分には不思議でならない。昆虫の生態を研究していたファーブルがダーウィンの進化論を認めようとしなかったのも何となく分かるような気がする。

2020年8月16日日曜日

ガステリア交配種


ガステリアの花


   ▲2016年に自分で交配して2017年の6月に種子を蒔いたガステリアの実生に最初の花が咲いた。その名の通り胃袋みたいな形をした典型的なガステリアの花。





   ▲本体はこんな姿。交配親は「恐竜」×「グロメラータ」。いかにも両者の中間的な外見をしている。これを何かと掛け合わせてまた種子を採れたらと思っている。まだ名前は無い。





▲ちなみにこれが母親の「恐竜」(Gasteria  “Kyoryu”)。
   「エクセルサ」(G.excelsa)と「ピランシー」(G.pillansii)の交配種だと云われている。







こちらが父親の「グロメラータ」(G.glomelata)。南アフリカに自生している原種。




2020年8月15日土曜日

東洋のマコ


オリエント
マコ  XL
FEM75005R9


ORIENT
MAKO  XL
FEM75005R5


   2017年にオリエントから海外市場向けに発売された200m防水の時計。ステンレス製ケースの直径は44mm、厚さ13.5mm、ラグ幅22mm。ステンレスのベルトを含めた重さは192g。白い文字盤のおかげで視認性は極めて良い。風防はミネラルガラス製。





   ▲裏蓋はシースルーではないので中身は見えないが、ムーブメントは1975年に開発された自動巻きの「EM46943」で、かつてはオリエントの様々な機種に使われていた物だが、今ではおそらくこの「MAKO XL」シリーズにしか搭載されていないと思う。21石の6振動。パワーリザーブは最大で40時間。日差は+25~-15秒。古い設計なので時刻合わせの際の秒針停止機能は無い。また、竜頭でゼンマイを巻き上げる事も出来ないので、稼働させる為には時計をシェイクするしかない。





   ▲ケース側面2時位置にあるプッシュボタンで曜日送りが出来るが、結構間違って押してしまう事が多い。




▲文字盤全体が光を蓄えて暗い所では煌々と輝く。明暗両所でここまで視認性の良い時計は中々他に無いと思う。


    最近のオリエントのダイバーズウォッチは総じてデザイン面で優れた物が多く、作りもしっかりしていながら実売価格は信じられない位安いのが魅力。日常的に惜しみ無く思いっきり使い倒すのにもってこいの時計だと言えるだろう。


ところでマコってなに?


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「オリエント」は、日本の腕時計メーカー。1950年(昭和25年)に多摩計器株式会社として東京都南多摩郡日野町にて創業。東洋時計の日野工場を借り受け、翌年には「オリエント時計株式会社」に社名変更して腕時計「オリエントスター」を発売。その後順調に売り上げを伸ばしていたが、2000年頃から業績が悪化し、2009年(平成21年)にはセイコーエプソンの機能子会社になった。2017年(平成29年)にはエプソンに事業統合されて、現在オリエントはエプソンの腕時計ブランドとなっている。





2020年8月14日金曜日

猫こけし12匹目


   蔵王高湯系のこけし工人、梅木直美さんの創作こけし「猫こけし」が、続々我が家に集まっている。


    12匹目の猫こけしは旭菊の模様。高さ約4寸。
只今瞑想中。


    以前にもお世話になった埼玉県のKさんからヤフオク経由で入手。きっと泣く泣く手放したのだろうから大切にさせて貰おうと思う。

2020年8月13日木曜日

黄烏瓜と黒瓜葉虫


キカラスウリ
Trichosanthes kirilowii var. japonica


ウリ科カラスウリ属の蔓性多年草。

    数年前に窓辺に捨てた種子から勝手に生えてきたキカラスウリ。毎年花は咲くのだが、これは雄株なので残念ながら実はならない。
花にはウリ科の害虫クロウリハムシ( Aulacophora nigripennis )がやって来ている。毎年クロウリハムシの食欲とキカラスウリの成長の競争になるのだが、ほとんどの場合、キカラスウリが勝利をおさめる。


o゚*o゚*o゚*○o゚*o゚*o゚*●o゚*o゚*o゚*


そう言えば、今日はお盆。

そこで一句。

「蚊遣り火も  したたる汗で  消えかかる」

かねぽん


   ちなみに、蚊遣りや汗は夏の季語で、お盆に関する迎え火や送り火は秋の季語。まだ秋の気配がしないので夏っぽい句にしてみた。


   


2020年8月12日水曜日

石竹模様


     またメルカリで梅木直美さんの伝統こけしを手に入れた。


   高さ4寸の小さなこけし。顔は蔵王高湯系の岡崎長次郎型。胴には肘折系のこけしに多い石竹(撫子)の花が描かれている。いつもながら直美さんの絵付けは完璧で欠点が見当たらない。

    出品者様については、ニックネームの他は愛知県在住の方だとしか分からない。メルカリ便ではプライバシー保護のために差出人の名前が書かれていない事が多い。番号非通知の電話とかも着信拒否している警戒心の強い自分としては、正直この手のサービスはあまり好きになれない。少しおおげさだとは思うけど、爆弾とか入っていたらどうしようかと不安になる。(←いや、かなりおおげさでしょう)

2020年8月11日火曜日

鈴蜂 その3


スズバチ
Oreumenes  decoratus

膜翅目ドロバチ科Oreumenes属。



▲2020年7月30日

   レンゲツツジの枝に泥で巣を作っているスズバチの雌。2番目の壁を作り終えて、3番目の壁に取りかかっている。






▲8月1日

3番目の壁が半分以上出来ている。







▲8月4日

    ほとんど変化していないように見えるが、上の方に粗い砂粒が乗っている。近頃は親蜂の姿を見かけなくなった。何らかの理由で親が死んでしまったのか、それとも巣が完成したから親が来なくなったのか。これで完成にしてはなんか中途半端な感じがするのだが。大きさはだいたいLサイズの鶏卵くらい。それにしても小さな蜂が一匹だけでこれだけの物を作り上げるのだから畏れ入ってしまう。



2020年8月10日月曜日

紅鷹


ベニタカ
紅鷹
Thelocactus heterochromus


サボテン科テロカクタス属。
メキシコ原産。

   2016年6月に鳥取県米子市の「おあしす  サボテンガーデン」から取り寄せた株。
この株の花の直径は9cm位。
5号駄温鉢に植えてある。

2020年8月9日日曜日

紫電改


  
FAMOUS  AIRPLANES OF  THE  WORLD
No.196
KYOFU,SHIDEN,SHIDENKAI(Extended Edition)


世界の傑作機
No.196
強風、紫電、紫電改 
 (No.124増補版)

株式会社文林堂
2020年(令和2年)9月5日発行


    文林堂から隔月で発行されている「世界の傑作機」シリーズ。毎回特定の飛行機について、専門家の詳しい解説やその機体に直接関わった当事者の体験談、実機の貴重な写真や細部の図面等が載っていて、資料としても読物としても他に類を見ない出版物だと言える。
    今回は大日本帝国海軍の要請で川西航空機で開発された水上戦闘機「強風」と、局地戦闘機「紫電」および「紫電改」を取り上げている。

「紫電改」は、「剣部隊」こと、第三四三海軍航空隊(343空)に集中配備されていた。司令の源田実大佐が率いる343空は優秀なベテラン戦闘機パイロットを集め、最新鋭の戦闘機を配備する精鋭部隊であり、実際に多くの戦果を上げていた。
     75年前の今日、長崎市にプルトニウム爆弾「ファットボーイ」がB29爆撃機「ボックスカー」によって投下された時、343空は長崎県の大村基地を拠点としていたが、その日は整備の日に当たっており、隊員達は休養を兼ねて登山訓練をしていた。歴史にもしもは無いと言われるが、紫電改がその日邀撃に飛び立っていたら2度目の惨劇は防げたかも知れないと、きっと隊員達も悔やんだ事だろう。もっともその日の長崎上空は厚い雲に覆われて見通しが悪く、たとえ紫電改が発進していたとしても、敵の爆撃機を発見するのは容易では無かったと思われるのだが。いずれにしても当時の日本人にとって紫電改の存在は、もしかしたらこれで日本の劣勢を挽回出来るかも知れないという希望の光だったはずである。