2022年6月15日水曜日

日本産野生蘭の標本画集

 


日本ラン科植物図譜
Illustrations of  Japanese Orchids


著・中島睦子
Mutsuko Nakajima

監修・大場秀章
supervised by HIdeaki Ohba

2012年8月31日 初版第1刷発行
株式会社 文一総合出版



   ▲最近買った本。2012年時点で記載されている日本産のラン科植物全種の標本画を収めた画集。著者の中島睦子さんは1939年生まれの標本画家で、これまでに多くの新種植物の記載論文に標本画を提供している方。この本の執筆には20年もの歳月を費やしている。植物体の図は主に全国の大学や博物館に所蔵されている出自の明確な乾燥標本を使い、立体的な花の部分は専門家や愛好家から提供された液浸標本を基にして正確かつ精緻に描かれている。冒頭にカラーのイラストが8枚掲載されている以外は、全て線画なので華やかさには欠けるものの、日本でこれ程信頼の置ける図鑑は他には見当たらない。野山で、あるいはネットで知らない蘭に出会って種名を知りたい時には強い味方になる事は間違い無い。また、収録されている標本画の中には遠くの島にしか自生しない種や、既に絶滅している可能性の高い種も含まれているので、これは時空間を超えてラン科植物の形状の美しさや奇妙さに出会える本でもある。文章は日本語と英語が併記されているので、国際的な学術書としても十分通用する内容となっている。














2 件のコメント:

さんのコメント...

いいないいな
立派過ぎて手が届きませんが(涙)、20年も費やしたなら、著者にとってはこれでも安いくらいなのでしょうね。

かねぽん さんのコメント...

春さん、時間をかけて書かれた優れた本ほど発行部数が少なく値段も高いのですが、そういう本は古本屋に持っていっても二束三文にもならないんですよ。需要と供給のバランスで漫画の方が高く売れるのですから困ったものです。