薔薇の季節は虫の季節。
▲「クライスラー・インペリアル」
‘Chrysler Imperial’
「シャーロット・アームストロング」(Charlotte Armstrong) と「ミランディ」(Mirandy) の交配で生まれたハイブリッド・ティー 。1952年発表。作出者はアメリカのウォルター・ラマーツ(Dr.Walter E. Lammerts)。 花には強いダマスク香がある。品種名はアメリカのクライスラー社が製造した自動車の名前から。この品種を母親として、「パパ・メイアン」「オクラホマ」「ミスター・リンカーン」といった優れた赤薔薇が生まれている。
▲その花が何者かに食べられて穴だらけになっている。
▲「ジョン・S・アームストロング」
‘John S. Armstrong’
アメリカのハーバート C. スイム(Herbert C. Swim)が1961年に発表したグランディフローラ。母親はピンク花の「シャーロット・アームストロング」(Charlotte Armstrong)で、父親は名無しの権兵衛(unnamed seedling)。品種名はカリフォルニアのアームストロング・ナーセリー(現在のアームストロング・ガーデンセンター)の創設者ジョン・サミュエル・アームストロング John Samuel Armstrong(1865~1965) に因む。また、この薔薇の親になった「シャーロット・アームストロング」の品種名は彼の奥さんの名から来ていて、同名の推理小説家とは関係ない。
▲その蕾も何かに食べられた。
▲虫に食べられた花を摘んでいたら、花の下から現れたシマカラスヨトウ(Amphipyra pyramidea yama)の終齢幼虫。背中に赤い花弁の欠片が貼り付いている。幼虫は広食性。年1化で、卵で越冬する。ヤガ科。Amphipyra属の幼虫でおしりが尖っている種が日本には4種いて、図鑑によっては歩脚が黒いのがシマカラスヨトウだと書かれているが、その点に関しては矛盾がある。北海道には4種のうち、今のところシマカラスヨトウしか確認されていないはずだが、その幼虫の写真を見ると歩脚が黒くない。それから最近記載された西日本に棲息するニセシマカラスヨトウ(A. meifengensis)の歩脚も黒いらしい。となると、歩脚の色では判別が出来ないと考えるか、あるいは他の種、特にオオシマカラスヨトウ(A. monolitha)の分布及び食性を見直すかしなければならないだろう。
▲「ミスター・リンカーン」
‘Mister Lincoln’
アメリカのスイム&ウィークス(Swim&Weeks)が1964年に発表したハイブリッド・ティー。交配親は「クライスラー・インペリアル」(Chrysler Imperial) ×「シャルル・マルラン」(Charles Mallerin)。同じ両親から生まれた「パパメイアン」や「オクラホマ」と比べて枝が太くてしっかりしている。また、花の色は明るい。花には強いダマスク香がある。
品種名はアメリカ合衆国の第16代大統領、エイブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)にちなむものだが、母親の品種名が車名から来ているので、もしかしたら自動車のリンカーンに引っ掻けている可能性もある。
▲ミスター・リンカーンの、穴があいた蕾の下にいたカシワキリガ(Orthosia gothica jezoensis)の終齢幼虫と思われる芋虫。カシワキリガの幼虫はバラ科やブナ科木本の花や幼果、新芽を食べる。年1回発生し、蛹で越冬、早春に羽化する。ヤガ科。
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