2018年4月9日月曜日

今日の本 9

  世界の傑作機  No.184
  「二式飛行艇」





  文林堂から隔月で発行されている「世界の傑作機」シリーズをいつも楽しみにしている。毎回特定の機種を取り上げていて、他では中々見れないような実機の貴重な写真や、専門家の詳しい解説が載っていて、資料としても読物としても素晴らしいシリーズだと思う。
   今回は「二式飛行艇」が取り上げられている。川西航空機株式会社(現新明和工業株式会社)で設計・製造され、大日本帝国海軍で運用された大型の飛行艇で、「二式大艇」とも呼ばれた機種である。全幅37.969m、全長28.118mの大きさで、航続距離7000km以上、最高速度454km/hの性能は当時としては世界最高の飛行艇だった。1941年(昭和16年)から1944年(昭和19年)まで167機が生産され、終戦まで活躍した。
 
    まず、巻頭では鹿児島県鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地史料館に展示されている二式飛行艇一二型第426号機のカラー写真が35枚掲載されている。その内25枚は、一般には公開されていない内部の写真である。この機体は東京都品川区の船の科学館から移管された物だという。

   次に、機体側面の塗装図が載っているが、これは模型作りを趣味にしている人にとって有り難い配慮だろう。
 
    続いて本文記事があるが、執筆者の中には新明和工業の取締役専務執行役員をしている石丸寛二氏も名を連ねている。同氏は「平成の二式大艇」とも呼ばれる海上自衛隊の「US-2」の開発を担当した人物である。
  また、白黒の写真も沢山載っていて、二式飛行艇の戦時中の勇姿や、戦後に米軍に接収された機体、それから東京から鹿児島まで426号機が運ばれていく時の様子などを知る事が出来る。

  そして巻末には、二式飛行艇の上下左右前後と内部艤装の平面図が掲載されている。これも模型製作の資料として凄く役に立つ筈だ。


  今回も中身が濃くて素晴らしい内容だった。でも、ちょっと気になった点がある。それは海老浩司氏の解説で、「二式飛行艇のトイレが水洗式だった」という所である。昔から言われている事だが、それについては自分は疑問に思っている。

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