2020年2月26日水曜日

猫SF



最近読んだ本



竹書房文庫

猫SF傑作選
猫は宇宙で丸くなる

シオドア・スタージョン、フリッツ・ライバー他
中村融 編


株式会社竹書房
2017年9月7日  初版第一刷発行



   猫にまつわるSFとファンタジーを集めたアンソロジー。


収録作は10篇



〈地上編〉


「パフ」
ジェフリー・D・コイストラ

    登場する猫の名前は「パフ」。マシュマロを自分で焼いて食べるのが好きなトラ猫の雄。


「ピネロピへの贈りもの」
ロバート・F・ヤング

   猫の名前は「ピネロピ」。ミス・ハスケルから貰うミルクが好きな灰色猫。


「ベンジャミンの治癒」
デニス・ダンヴァーズ

  猫の名前は「ベンジャミン」。永遠の4歳で脚に白い長靴を履いたような灰色の縞猫。去勢済み。


「化身」
ナンシー・スプリンガー

猫の名前は「フレイヤ」。北欧神話の女神の化身で黄金色の猫。


「ヘリックス・ザ・キャット」
シオドア・スタージョン

  猫の名前は「ヘリックス」。金庫破りをして射殺される喉と足先の白い黒猫。



〈宇宙編〉


「宇宙に猫パンチ」
ジョディ・リン・ナイ

   猫の名前は「ケルヴィン」。宇宙船パンドラの保全士。襲ってきたスムート星人の宇宙船を撃退する。しっぽは黒と白。


「共謀者たち」
ジェイムズ・ホワイト

   猫の名前は「フェリックス」。人間の目を盗んで実験動物のネズミとモルモットたちを宇宙船から脱出させようと画策する黒猫。


「チックタックとわたし」
ジェイムズ・H・シュミッツ

  猫の名前は「チックタック」。その正体は惑星ジョンタロウの土着の知的生物カンムリネコの子供。本来の体毛は黄褐色がかった灰色だが、体の色は自由に変えられる。


「猫の世界は灰色」
アンドレ・ノートン

   猫の名前は「バット」。宇宙作業員スティーナといっしょに旅をしている灰色の雄猫。


「影の船」
フリッツ・ライバー

    猫の名前は「キム」。宇宙船ウインドラッシュの住民でネズミとりの名手。黒猫。



   この前読んだ「夜の夢見の川」と同じくシオドア・スタージョンの名前に惹かれて買った本だったが、他の作品も面白かった。
   この中で特に傑作だと思ったのは、デニス・ダンヴァーズの「ベンジャミンの治癒」。自分の飼っている猫が不老不死である事をひた隠しにする主人公と、彼の人生の最期まで添い遂げようとした猫。軽妙な語り口だが、結末には泣きそうになった。次に良かったのはフリッツ・ライバーの「影の船」。目的を見失い彷徨う宇宙船の中で、記憶と視力を失くした主人公が見た退廃した世界の物語。フリッツ・ライバーといえばガミッチという名の猫が登場するシリーズが知られているが、それとは全く違うタイプの話だった。


   最近自分は活字を読むと眠くなる病気に罹っていたが、この本を読んだおかげで少し治ってきたような気がする。まだ読んでない本が部屋に何十冊と積んであるので、片っ端から読んでいこうと思う。さて、次は何を読もうか。



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