2018年5月19日土曜日

今日の本 12

  「かくしごと ⑥」    久米田康治













   楽天ブックスに予約注文していた本が昨日届いた。月刊少年マガジンで連載している久米田康治氏のギャグ漫画「かくしごと」の第6巻である。
   主人公の「後藤可久士」は、小学4年生の一人娘「姫ちゃん」と二人で暮らしている。彼は自分の本当の職業を娘にひた隠しにしている。実は彼の職業は漫画家で、少年漫画誌で下ネタ漫画を描いているのだが、その事がばれて娘に嫌われたり、娘が学校でいじめられたりするのを恐れるあまり、娘の前では普通の会社員を装っている。この漫画は、そんな主人公がアシスタントやら近所の若い女性やらを巻き込んで繰り広げるコメディである。

  単行本には、第1巻からずっと巻頭と巻末にカラーで書き下ろしの漫画が掲載されていて、本編のエピローグを同時進行で描いているのだが、そこには高校生になった姫ちゃんが登場している。
  あと、所々に「描く仕事の本当のところを書く仕事」と題したコラムが差し込んであり、業界の裏話を含んだ作者の取り留めの無い有り難いお話を読む事が出来る。


   自分が初めてこの作者の作品を読んだのは、前々作の「さよなら絶望先生」からだ。最初は絵柄のセンスの良さに惹かれたのだが、読み進んでいくうちに「この人天才じゃん」と思うようになった。ネタの多様性や細部へのこだわりには作者の豊富な知識と深い洞察力を垣間見る事が出来るし、展開した伏線をきちんと回収するストーリー構成の技術力は、まるで前衛的な大聖堂を設計する建築家のようであり、この「かくしごと」という漫画にもその本領は遺憾無く発揮されている。

 でも、まあ何と言ってもこの漫画の魅力は、姫ちゃんの可愛らしさだと思う。いかにも小学4年生といった感じの発想と、表情やしぐさが妙にリアルで、実在の女の子がネタを提供してるんじゃないかと疑ってしまう。ミラーボールをシャンデリアだと誤解したり、本物のシャンデリアをシンデレラと呼んだり、父親が炬燵に潜り込んでるのを見て「こたつむりだ!」と言って真似してみたり、実際に娘がいる父親でないと中々ここまで描けないと思うのだが、残念ながら作者の久米田氏は自身のプライバシーについては一切公表していない。寧ろそこら辺も漫画の主人公と重なる所があって面白いと思う。
  「さよなら絶望先生」はテレビアニメになったが、多分「かくしごと」の方はいずれ実写ドラマ化されるんじゃないだろうか。
  
  ところで、本の帯を見て初めて知ったのだが、白泉社の「楽園」に連載している久米田康治氏の「スタジオパルプ」の第1巻が5月31日に発売されるらしいので、こちらも楽しみである。早速予約注文させてもらった。














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