2018年8月20日月曜日

今日のナイフ 10


番外編

「米沢型の鉈」その2

   山形県米沢市の「三沢コミュニティセンター」内にある「よねざわ昆虫館」を一通り見終わって、そろそろ帰ろうと思って外に出た時、周辺の地図を書いた掲示板があるのに気付いた。近くでよく見ると、ここのすぐ隣に「民具館」なる表示がある。ちょっと気になったのと、少し時間もあったので寄ってみる事にした。

   オートバイはそのままコミュニティセンターの駐車場に停めて歩いていったが、それらしい案内板も看板も無い。三沢小学校の校門まで歩いてみて途中にあったのは、子供達が野球の練習をしている小学校のグランドの手前に建っている小さな家だけ。ひょとしたらと、もと来た道を戻って小さな家の反対側にまわって家の中を覗いてみたら、どうやらそこが目的の「民具館」のようだった。

    館の中にいた女の人(館長?)に挨拶して「中見せてもらっていいですか?」と訊いたら「どうぞ」との事。その人の言うには、やっと整理が終わった所だそうで、もしかしたらまだオープン前だったのかも知れない。館に表札も看板も見当たらないのはそのためだろうか。館の中に入るとそこにはガラスのショーケースとかは無く、所狭しと様々な古民具が剥き出しの状態で置いてある。写真を撮っても良いかと尋ねたら「多分」と歯切れの悪い返事だったが、自分の都合の良い方に解釈させてもらった。

   人が中に入れそうな大きな鉄釜があった。自分はてっきり五右衛門風呂かと思ったのだが、館の女の人は「味噌釜」だと教えてくれた。これで味噌の原料の大豆を炊いたらしい。昔は集落に1つこういう大釜があって共同で使っていたと言う。


今でも十分使えそうな大鋸もある。


  つい昨日まで使っていたような大鎌もある。


  また大鋸。そして羊の毛を刈る為の大きな和鋏。


  糸を紡いだり、はたを織ったりする為の道具や部品。


「荷鞍」と呼ばれる物。人が乗る為の鞍ではなく、牛や馬に荷物を背負わせる為の鞍らしい。


  鉈や斧の類もある。自分が気になったのは真ん中辺りにある植物で編んだ鞘に収まっている鉈らしき物2点。
 館の女の人に頼んで中身を拝見させてもらうと、




やっぱり「米沢型」の鉈だった。
  喉から手が出る程欲しい、大好きな米沢型の鉈。誰も見ていなかったら黙ってこっそり持って帰っていたかも知れない。と言うのは冗談だが、館の女の人はこれが米沢型と呼ばれる事は知らなかったらしい。自分が教えてあげたら早速名札を作って鉈に取り付けていた。

   全体的にこの「民具館」に展示されている品は、比較的新しい、戦後まで使われていた道具が多いように見受けられた。これらの道具は、大きな博物館で展示する程の古くて貴重な物ではないかも知れないが、むしろだからこそ誰かが守っていかなければいけないような気もする。地元で使われていた道具を地元で保存・展示するのは、現代と後世の人々がその地域の歴史を理解する上で必ず役に立ってくれるだろう。
   そして何よりこういう「民具館」や「昆虫館」のような面白い場所が近くにある事が嬉しいし、出来ればもっと増えてくれたらいいのにと思っている。

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