タムシバの花
Magnolia salicifolia
タムシバは、モクレン科の落葉小高木。
独立行政法人森林総合研究所関西支所の2010年(平成22年)の11月の研究情報(No.98)によると、タムシバには西日本に分布する「高木型」と、東日本に分布する「低木型」の2種類があり、両者は別種と考えられるという。それぞれ雄蕊と雌蕊の数の比率が違っていて、高木型は雄蕊が40~60、雌蕊が30~50で、低木型の雄蕊は50~70、雌蕊は15~40くらいだそうだ。低木型は高木型より明らかに雄蕊の数が多くなる傾向があるらしい。
そこで、我が家の周辺の山林で咲いているタムシバを調査してみる事にした。まず、1本の木から1輪ずつ花を採ってきて、雄蕊と雌蕊の数を数えてみる。するとこのような結果になった。
s(雄蕊数) p(雌蕊数) p/s
A 60 38 0.63
B 56 35 0.62
C 74 43 0.58
D 74 48 0.64
E 68 44 0.64
F 80 32 0.40
サンプルFを除くと高木型と低木型の中間の値を示しているのがわかる。
それで今度は、低木型の値を示したサンプルFと同じ株から複数のサンプルを採って調べたのがこちらである。
s p p/s
F 80 32 0.40
G 72 32 0.43
H 67 22 0.32
I 63 27 0.42
J 70 32 0.45
K 77 27 0.35
一応低木型の範囲に入ってはいるが、同じ株でも花によってかなりばらつきが有る。タムシバの雄蕊や雌蕊の数は遺伝子だけで決まるわけでは無い事がわかる。花芽形成時の栄養状態や気象条件、あるいは木の年齢とか病害虫の影響等によって変化する事が有るとすれば、これらの形質をタムシバの分類に利用するのは無理があるように思える。
もし1本の木を何十年も調査してみたら、どんな結果が出るのだろう。
自分は、以上の理由からタムシバに高木型と低木型の2種が存在するという説を支持する事は出来ない。
サンプル数が少なすぎるので、自分の調査に学術的な意味があるとは思っていないが、今回の調査によって、自分の目で確かめる事がいかに大切かが解ったような気がする。
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