2020年6月20日土曜日

報復兵器


FAMOUS  AIRPLANES  OF  THE  WORLD
No.195
Fi 103“V1” & V2 MISSILE


世界の傑作機
No.195
Fi 103“V1”&V2ミサイル

株式会社文林堂
2020年(令和2年)7月1日発行



    文林堂から隔月で発行されている「世界の傑作機」シリーズ。毎回特定の飛行機を取り上げていて、その道の専門家が詳しい解説をしてくれている。他では中々見れないような実機の貴重な写真が載っていたりもして、資料としても読物としても素晴らしいシリーズだと思う。でも今回はなぜか飛行機ではなくミサイルを取り上げている。


   第二次世界大戦中にドイツ空軍が開発したV1飛行爆弾こと「フィーゼラー Fi 103」は、史上初の巡行ミサイルとして知られている。低質ガソリンを燃料とし、パルスジェットで推進する、云わば無人飛行機である。
  対するV2ロケットはドイツ陸軍によって開発された史上初の弾道ミサイルである。液体燃料ロケットによって推進するこの機の設計は、後のアメリカのアポロ計画に関わったヴェルナー・フォン・ブラウン(Wernher Magnus Maximilian Freiherr von Braun)だ。
  V1やV2というのはドイツの宣伝相ゲッベルスが名付けた「報復兵器」(Vergeltungswaffe)1号、2号から来ている。

  今回この本で自分が最も興味深かったのは、有人型の Fi 103の写真だった。まるで日本の「櫻花」みたいではないか。まさかそんな物がドイツでも作られていたとは。もしどこかでプラモデルが出ていたら買ってしまうかも知れない。


   当時の科学の粋を集めたこれらの最新兵器がありながらドイツが戦争に勝てなかったのは、やはり物量に勝るアメリカが参戦してイギリスの援護にまわったからだろう。イギリスから提供された飛行機エンジンや小型レーダー等の最新技術を、アメリカは兵器に転用してその工業力でたちまち量産して実戦に投入した。アメリカの参戦を実現する為にイギリスの首相だったチャーチルは日本がアメリカと戦わざるを得ない状況になるように画策したと言われている、なんて事はこの本には書いてないので悪しからず。

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