2018年10月26日金曜日

今日の本 28


「日本どんぐり大図鑑」

徳永桂子

偕成社
2004年3月  第1刷発行

   どんぐりの図鑑が欲しいと思い、とりあえず結構詳しそうだからという理由でちゃんと中身を確認もせず通信販売で取り寄せた図鑑。
   家に届いたこの本のページを捲っているうちに気付いたのは、巻末の解説部分以外は写真が1枚も載ってない事だった。どんぐりと、それを実らせる楢や樫の木が、すべてリアルな細密画で描かれているのだ。
   特に目を惹いたのは、表紙にもなっている樹形を描いたイラストだ。それぞれの樹種ごとに大木の全体図が載っているが、その無数にある梢や葉のひとつひとつがいっさい手を抜く事なく実に細かく描き込まれている。
   写真に撮れば一瞬で終わる作業だと思うのだが、白地を背景にして根気よく描かれた細密画は、むしろ写真より鮮明で、何より分かりやすいのだ。

  この本の著者である徳永桂子氏は、1947年生まれのイラストレーター。2001年に英国王立園芸協会(RHS)の展覧会のボタニカルアート部門で金賞を受章している。また、樹形を描いた2作品がRHSのリンドレー・ライブラリーに所蔵されている。
    1994年からどんぐりの絵を描き始めたそうだから、10年かけてこの本を完成させた事になる。

   また、この本の巻末に載っている解説が面白い。書いているのは、愛知県で自然観察指導員をされている北岡明彦氏。生物地理や生態学、考古学、民俗学、文学など、様々な観点からどんぐりを解説している。


   ろくに内容を知りもしないで買った本だったが、どうやら今回は当りを引いたようである。





2 件のコメント:

さんのコメント...

いやはや、良さそうな本を買われましたね。
私はドングリの本を何冊か持っていますが、ドングリは個体差も大きいからか、あまり役立ちません(笑)。

かねぽん さんのコメント...

春さん、どんくりは雑種もあったりして、堅果だけで見分けようとするとかなり手強い相手ですよね。この本の巻末には著者の徳永さんが見つけたどんぐりの中で、最大の物と最小の物を実物大で示した図が載っています。