2018年10月27日土曜日

今日の本 29


しぜんのひみつ写真館   5
ぜんぶわかる! カイコ
新開 孝 / 著
    伴野 豊 / 監修 

ポプラ社
2015年6月  第1刷発行

   小学生の頃、誰かからカイコの幼虫を2匹貰った事がある。まんじゅうの小さな紙箱の中にいる白い芋虫達を初めて見た時、正直気持ち悪いとしか思わなかった。でも当時から虫も殺せない良い子だった自分は、とりあえず教えられるままに桑の葉をやって育ててみる事にした。
    その2匹の白い芋虫は桑の葉を食べてすくすく育ち、やがて2つの白い繭になった。そしてその2つの繭から2頭の白い蛾が羽化し、すぐに交尾をして沢山の黄色い卵を産んでから死んでいった。
    2頭の成虫が雄と雌だったのは単なる偶然だろうか。

    この本の対象年齢は小学校の低学年位らしい。でも実際は中学で習う内容も含まれているようだ。カイコの生態や形態、飼い方などについて、美しい写真を見ながら学習する事が出来る。この本を読んでいかに自分がカイコを知らなかったかが分かった。カイコは幼虫の段階でも雌雄を見分ける事が出来るのだ。

   他にもカイコの繭や幼虫の色彩の多様性だとか交配実験の結果などが載っていたり、カイコ以外で糸を採れるヤママユ類(野蚕)についても触れていたりして、子供向けでありながらもかなりレベルの高い本になっていて侮れない。

  この本の著者である新開 孝氏は宮崎県在住のフリーの昆虫写真家。監修をしている伴野 豊氏は九州大学の遺伝子資源開発研究センターでカイコの研究をしている農学博士である。

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