2018年1月10日水曜日

今日の絶滅器具種 3

    タイトルの漢字が間違っていると思われるかも知れない。普通は絶滅危惧種と表記するのだが、ここで取り上げるのは、昔は沢山存在していたのに最近あまり見かけなくなった道具類だから絶滅器具種としてある。

    さて今回取り上げるのはこれである。



     水銀体温計
   10年以上前の事だったと思う。自分が使っていた電子体温計の調子が悪く、電池を交換しても駄目だったので、「電子式はこれだから困る。やっぱりいざという時役に立つのは昔ながらの製品だよな」と思い、水銀体温計を買いにいった。
   ところが、店に並んでいるのは電子体温計ばかりで水銀の体温計はひとつも見当たらない。何軒か店を廻ってやっと1本だけ見つけ出し、なんとか買う事ができたが、いつの間にこんな状況になったのだろうかと驚いてしまった。
   
   水銀体温計が発明されたのは、1866年だというから、思ったほど古い物ではない。日本では、山口県防府市の薬局店主、柏木幸助が1883年(明治16年)に販売したのが最初だという。 




    柏木体温計
















    水銀体温計は、電子体温計に比べて故障や電池切れが無く、正解に体温を測定出来るというメリットがある一方、測定に時間がかかったり、ガラスが破損した時に怪我をしたり、水銀が漏れ出す危険性もある。水銀それ自体はたとえ飲み込んだとしても消化菅から吸収される事は無く、そのまま排出されるそうだが、気化したり化合物化した水銀は人体にも周りの環境にも有害である。
   2013年には、水銀に関する水俣条約が採択、2017年に発効されて、水銀の製造や輸出入に関する規制が厳しくなったせいもあってか、今現在水銀体温計は国内では製造されてないようだ。辛うじて販売は1社だけがおこなっている状況である。

    しかし、電子体温計には半導体やプラスチック、ボタン電池が使われており、それらの製造過程や廃棄で発生するゴミだって、決して環境に無害な訳ではないと思うのだが。










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