2020年2月2日日曜日

ありえなさの原理


最近読み終えた本



早川文庫
ノンフィクション
〈数理を愉しむ〉シリーズ

「偶然」の統計学
デイヴィッド・J・ハンド 
松井信彦 [訳]


株式会社早川書房
2017年10月15日発行



   世の中には信じられない程幸運な人がいるもので、何度も宝くじの1等に当選したとか、3日連続でホールインワンを達成したとか、そんな話を聞くと自分にも少しその幸運を分けてもらいたいものだと思ったりする。その一方で、何度も落雷の被害に見舞われたり、立て続けに家族を事故で失ったりする信じられない程不運な人もいる。
     本書の著者、デイヴィッド・J・ハンド氏によると、そういった一見ありえないような出来事のほとんどは「ありえなさの原理」で説明出来るという。「ありえなさの原理」とは「不可避の法則」「超大数の法則」「選択の法則」「確率てこの法則」「近いは同じの法則」という5つの法則で構成されるらしい。日常で個人の身の上に起こる奇跡的な出来事だけでなく、株価の暴落や生物の進化、宇宙の成り立ちにもありえなさの原理が関わっているらしい。
    この本を読んでも宝くじの当選確率が上がるわけではないが、統計や確率というものについて人々がどう誤解してきたかを理解出来ると思う。要約すると、奇跡とか数奇な運命とかいうものが実はそんなに奇跡でも数奇でもないという話である。






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