2020年8月9日日曜日

紫電改


  
FAMOUS  AIRPLANES OF  THE  WORLD
No.196
KYOFU,SHIDEN,SHIDENKAI(Extended Edition)


世界の傑作機
No.196
強風、紫電、紫電改 
 (No.124増補版)

株式会社文林堂
2020年(令和2年)9月5日発行


    文林堂から隔月で発行されている「世界の傑作機」シリーズ。毎回特定の飛行機について、専門家の詳しい解説やその機体に直接関わった当事者の体験談、実機の貴重な写真や細部の図面等が載っていて、資料としても読物としても他に類を見ない出版物だと言える。
    今回は大日本帝国海軍の要請で川西航空機で開発された水上戦闘機「強風」と、局地戦闘機「紫電」および「紫電改」を取り上げている。

「紫電改」は、「剣部隊」こと、第三四三海軍航空隊(343空)に集中配備されていた。司令の源田実大佐が率いる343空は優秀なベテラン戦闘機パイロットを集め、最新鋭の戦闘機を配備する精鋭部隊であり、実際に多くの戦果を上げていた。
     75年前の今日、長崎市にプルトニウム爆弾「ファットボーイ」がB29爆撃機「ボックスカー」によって投下された時、343空は長崎県の大村基地を拠点としていたが、その日は整備の日に当たっており、隊員達は休養を兼ねて登山訓練をしていた。歴史にもしもは無いと言われるが、紫電改がその日邀撃に飛び立っていたら2度目の惨劇は防げたかも知れないと、きっと隊員達も悔やんだ事だろう。もっともその日の長崎上空は厚い雲に覆われて見通しが悪く、たとえ紫電改が発進していたとしても、敵の爆撃機を発見するのは容易では無かったと思われるのだが。いずれにしても当時の日本人にとって紫電改の存在は、もしかしたらこれで日本の劣勢を挽回出来るかも知れないという希望の光だったはずである。


0 件のコメント: