2020年11月22日日曜日

運者生存

 
驚異の標本箱
― 昆虫 ―

丸山宗利
吉田攻一郎
法師人響




2020年10月16日 初版発行
株式会社KADOKAWA


     昆虫分類学者と工業デザイナー、昆虫写真家の3人による昆虫の標本の写真集。深度合成という比較的新しい技法により撮影された、非常に鮮明な写真が掲載されている。




   この本に登場する昆虫達の人智を超えた奇妙な姿を見ていると、ダーウィンの唱えた「適者生存」という概念に疑問が湧いてくる。「適者」というのは英語の「fittest」を訳した言葉で、直訳すれば「最も適した者」という意味になる。だが昆虫の多様性は、別に一番じゃなくても、二番や三番でも生きて行けるのではないかと訴えかけてくる。実際我が家の庭には4種のハンミョウが棲息している。自分は似たような生態を持つ生き物達が狭い場所にいくつも共存している現実に、自然の偉大な「おおらかさ」を感じてしまうのだ。




    生物の進化については、「適者生存」ではなく、「運者生存」( survival of the luckiest )だと考える学者も多いらしい。






0 件のコメント: