ラベル 絶滅器具種 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 絶滅器具種 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2024年10月5日土曜日

沈子

 



焼き物の沈子。



▲新潟県の村松浜で今までに拾った焼き物の沈子(ちんし=おもり)。遠方から流れ着く可能性のある浮子(ふし=うき)と違い、ほとんどは地元で使われていて遺失したか廃棄された物だと思う。今でもどこかで生産されているのだろうか。(←岐阜県でまだ生産されているらしい)  これも誰かが拾わなければいつの間にか消えていってしまう「絶滅器具種」(←造語)のひとつと言えるだろう。










 

2018年2月12日月曜日

今日の絶滅器具種 5


タイトルの漢字が間違っていると思われるかも知れない。普通は絶滅危惧種と表記するのだが、ここで取り上げるのは、昔は沢山存在していたのに最近あまり見かけなくなった道具類だから絶滅器具種としてある。

 さて、今回取り上げるのはこれである。


   「電工ナイフ」









  電工ナイフとは、主に電力線や電話線等の工事の際に、絶縁線の合成樹脂製の被覆を削ったり切り裂いたりして、内部の導線を露出する為の道具である。
  しかし最近は、ワイヤーストリッパーを用いる事が一般化し、ナイフを使う人が少なくなった。
  今はもうホームセンターや金物屋で電工ナイフを取り扱って無い店も多い。
   

 少し前まで見かけた一般的な電工ナイフ









  普通の電工ナイフは、折りたたむ事はできるがロック機構の無い背バネ式で、刃の先端は尖っていない。柄の素材は木で出来た物が多いが一部プラスチック製もある。刃の断面形状はホローグラインドの物が殆んどだが、古い製品の中にはフルフラットグラインドの物もあった。


   フルフラットグラインドの電工ナイフ











   中には鋸がついた物や、











  刃の形の変わった物もある。











  もう少し古いタイプの電工ナイフ。
  刃先が尖っている物が多い。それから、柄の部分が牛骨製の物もある。









   そもそも、日本の電工ナイフは、電気工事の為に特化したナイフではない。        元々存在していた折りたたみ式ナイフに「電工ナイフ」という新たな用途と名称を与えたに過ぎない。
  その起源は、西洋の船乗り達が用いていた、主にロープを切断したりする為の汎用ナイフだった。
  それが明治以降の日本の近代化に伴って海軍の装備に採用され、「海軍メス」と呼ばれて普及する事になる。

   「海軍メス」
    柄の部分は鹿角製が多いが、牛骨製もある。 









  そして、日本の敗戦によって需要を失った海軍メスはその後、名称を変え、姿も少しずつ変えながら何とか生き残ってきたのだが、やがてナイフに対する社会の風当たりはだんだん厳しくなって行く。それは、未成年によるナイフを使った犯罪がマスコミに報道され、問題視されたからだ。
  店頭で堂々とナイフを売る事が次第に難しくなり、折りたたみのナイフが日本で唯一活路を見出だした場が、電気工事という用途だった。電工ナイフという名称なら、工具売り場に置いてあっても何の問題も無い。実際に電気工事に使用するかどうかはあまり重要では無かったから、用途を限定しない何にでも使えるような形状を保ってきたのだろう。
   電工ナイフが生まれ、生き残ってきたのは、ナイフを作る側、売る側、そして使う側の都合がぎりぎりの所で噛み合った結果だったのではないだろうか。
  

  ちなみに、西洋の電工ナイフともいえる「エレクトリシャンナイフ」は、こんな形をしている。

   第二次大戦中の米軍通信兵用ナイフ、「TL-29」











  それから参考までに、戦後イタリア海軍で使われていた軍用ナイフ。









  このままだと近い将来電工ナイフは絶滅するだろうと思っていたのだが、最近ジェフコムという会社からこんな電工ナイフが売り出された。










  ホローグラインドで先が尖って無い事など刃の形状は共通しているが、他はだいぶ変わってしまっている。サムスタッドやクリップやライナーロックがついて、最近のアメリカのタクティカルナイフのようになってしまった。勿論この方が便利で使いやすいのは確かだし、日本製のナイフが形を変えてでも生き延びてくれれば有り難いのだが、果たしてこれらを電工ナイフと呼んで良いのだろうか。
  

2018年1月18日木曜日

今日の絶滅器具種 4

 タイトルの漢字が間違っていると思われるかも知れない。普通は絶滅危惧種と表記するのだが、ここで取り上げるのは、昔は沢山存在していたのに最近あまり見かけなくなった道具類だから絶滅器具種としてある。

    さて今回取り上げるのはこれである。
 

     ガラスの浮き玉














   ガラスの浮き玉は、ビン玉とも呼ばれ、主に漁業に使われた道具である。定置網や延縄漁、ホタテ貝や海藻の養殖等、様々な用途に浮きとして使われ、また蛸を釣る時の擬似餌として利用されることもあった。
    ガラスの浮きは、海水や紫外線でも劣化せず、高い水圧にも耐える事ができる。しかも用途に合わせて、大きさ、形状、色彩等を変えて作る事もできた為、世界中で製造され、利用されていた。
    しかし近年はガラスの浮きが使われる事は余り無くなってしまったようである。以前は何処の漁村でも大量に見かける、ごくありふれた物だったのに、今は殆んど見られなくなってしまった。その代わり見かけるのは、プラスチック製の浮きばかりである。
   理由は明らかだろう。ガラスはプラスチックに比べて割れやすいからである。

   上の画像は、去年の12月21日に村松浜の砂浜で拾って来た韓国製と思われるガラス浮きである。朝鮮半島から海流と波と風の力で新潟の海岸に流れ着いた物だ。直径6cm程の球形で、緑色のガラスで出来ている。吹きガラスの技法で作られていて、吹き口の穴をガラスのパッチで塞いでいる。パッチの部分には、ハングルで 「일」(チョーイル=朝日)と刻印してある。製造した会社か、そこの商標を表しているのだろうが、定かではない。そもそも、韓国でガラスの浮き玉が作られたり使われたりしている画像を今まで一度も見た事が無いのは何故だろうか。

   日本では、北海道小樽市の「浅原硝子」で今でもガラス浮きが作られているそうだ。

2018年1月10日水曜日

今日の絶滅器具種 3

    タイトルの漢字が間違っていると思われるかも知れない。普通は絶滅危惧種と表記するのだが、ここで取り上げるのは、昔は沢山存在していたのに最近あまり見かけなくなった道具類だから絶滅器具種としてある。

    さて今回取り上げるのはこれである。



     水銀体温計
   10年以上前の事だったと思う。自分が使っていた電子体温計の調子が悪く、電池を交換しても駄目だったので、「電子式はこれだから困る。やっぱりいざという時役に立つのは昔ながらの製品だよな」と思い、水銀体温計を買いにいった。
   ところが、店に並んでいるのは電子体温計ばかりで水銀の体温計はひとつも見当たらない。何軒か店を廻ってやっと1本だけ見つけ出し、なんとか買う事ができたが、いつの間にこんな状況になったのだろうかと驚いてしまった。
   
   水銀体温計が発明されたのは、1866年だというから、思ったほど古い物ではない。日本では、山口県防府市の薬局店主、柏木幸助が1883年(明治16年)に販売したのが最初だという。 




    柏木体温計
















    水銀体温計は、電子体温計に比べて故障や電池切れが無く、正解に体温を測定出来るというメリットがある一方、測定に時間がかかったり、ガラスが破損した時に怪我をしたり、水銀が漏れ出す危険性もある。水銀それ自体はたとえ飲み込んだとしても消化菅から吸収される事は無く、そのまま排出されるそうだが、気化したり化合物化した水銀は人体にも周りの環境にも有害である。
   2013年には、水銀に関する水俣条約が採択、2017年に発効されて、水銀の製造や輸出入に関する規制が厳しくなったせいもあってか、今現在水銀体温計は国内では製造されてないようだ。辛うじて販売は1社だけがおこなっている状況である。

    しかし、電子体温計には半導体やプラスチック、ボタン電池が使われており、それらの製造過程や廃棄で発生するゴミだって、決して環境に無害な訳ではないと思うのだが。










2018年1月2日火曜日

今日の絶滅器具種 2

   タイトルの漢字が間違っていると思われるかも知れない。普通は絶滅危惧種と表記するのだが、ここで取り上げるのは、昔は沢山存在していたのに最近あまり見かけなくなった道具類だから絶滅器具種としてある。

    さて今回取り上げるのはこれである。


     苺スプーン
















     苺の意匠をプレスで象ったこのスプーンは、昔は苺を食べる時によく使っていた。苺に牛乳と砂糖をかけて、苺を押し潰すのに、このスプーンのつぶつぶの着いた平らな面が丁度良かったのだ。牛乳に苺の果汁が溶け混ざり、苺に牛乳がしみこんで最高のデザートだった。
    
    苺スプーンの発祥は、新潟県の燕市にある小林工業だといわれている。1960年に発売されたそうだ。
    最近は品種改良によって苺の糖度が増しているのでそのまま食べる事が多くなったせいか、苺スプーンの売り上げは減っているそうだが、離乳食や介護食を作るのに便利な為、いまだに需要があるという。
    そもそも、こういった金属製の食器は一度買えば何十年ももつだろうから、今でもほとんどの家庭の食器棚や引き出しに眠っているはずである。
    
    
    

2017年12月26日火曜日

今日の絶滅器具種 1

   タイトルの漢字が間違っていると思われるかも知れない。普通は絶滅危惧種と表記するのだが、ここでは昔は沢山存在していたのに最近あまり見かけなくなった道具類を取り上げるので絶滅器具種としてある。
     前に取り上げたランタンとかガラス浮きとかも昔はよく見かけたのだが今はほとんど使われなくなってしまったようだ。そういった既に生産が終了し、新しい製品が入手出来なくなった物は、誰かが保存したり記録に残しておかなければならないと思うのが人情だろう。
 
    そこで今回取り上げる絶滅器具種は、

     牛乳瓶、正確に言うと牛乳のリターナブル瓶である。

     最近は紙パック入りが主流になってしまった牛乳だが、昔はどこの店でも瓶入りの物がおいてあった。学校の給食に瓶入り牛乳が出るだけでなく、一般家庭でも瓶入りを宅配してもらっている家が多かった。
    それらの牛乳瓶は飲み終わったらお店に返却され、牛乳屋さんに回収されて再利用されたので、瓶だけが家庭に残っている事はあまり無いはずである。それでもまだあちこちの家庭の物置などに牛乳瓶が残っているのは、瓶ごと買い取ったのか、それとも返し忘れたかのいずれかだろう。



     山形県長井市の三笠屋牛乳店の牛乳瓶

   












    印刷が見えやすいように中に新しい牛乳を入れて撮影。アシスタントはこの前海で誘拐してきたキューピーの浜ちゃん。

    後ろから。
















    この牛乳瓶、結構珍品かも知れない。
    検索しても画像が出て来ないし。