ラベル シオドア・スタージョン の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル シオドア・スタージョン の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年8月22日日曜日

影よ、影よ、影の国

 


最近読んだ本


ソノラマ文庫〈海外シリーズ〉⑥
「影よ、影よ、影の国」
《怪奇とファンタジーのスタージョン傑作選》
シオドア・スタージョン
村上 実子  訳


昭和59年8月31日  初版発行
株式会社 朝日ソノラマ

  アメリカの小説家、シオドア・スタージョンの日本で独自に編纂された傑作短篇集。

収録作品、原題、掲載誌、発表年代は次の通り。

「影よ、影よ、影の国」SHADOW,SHADOW,ON THE WALL(IMAGINATION STORIES  1951-2)
「秘密嫌いの霊体」BLABBERMOUTH(AMAZING 1947-2)
「金星の水晶」SPECIAL APTITUDE(OTHER WORLDS 1951-3)
「嫉妬深い幽霊」GHOST OF A CHANCE(SUSPENSE 1951-8)
「超能力の血」TWINK(GALAXY 1955-8)
「地球を継ぐもの」LIKE YOUNG(F&SF 1960-3)
「死を語る骨」THE BONES (UNKNOWN 1943-8)

   この中で表題作の「影よ、影よ、影の国」と「地球を継ぐもの」は他の短篇集にも掲載されていて読んだ事があったが、それ以外は初めて読んだ作品だった。最後の「死を語る骨」はジェームズ・ベアードとの合作らしい。どの作品もいかにもスタージョンといった感じの物語ばかりで、村上実子さんの読みやすい訳文のおかげもあってか期待を裏切らない内容だった。








2020年2月26日水曜日

猫SF



最近読んだ本



竹書房文庫

猫SF傑作選
猫は宇宙で丸くなる

シオドア・スタージョン、フリッツ・ライバー他
中村融 編


株式会社竹書房
2017年9月7日  初版第一刷発行



   猫にまつわるSFとファンタジーを集めたアンソロジー。


収録作は10篇



〈地上編〉


「パフ」
ジェフリー・D・コイストラ

    登場する猫の名前は「パフ」。マシュマロを自分で焼いて食べるのが好きなトラ猫の雄。


「ピネロピへの贈りもの」
ロバート・F・ヤング

   猫の名前は「ピネロピ」。ミス・ハスケルから貰うミルクが好きな灰色猫。


「ベンジャミンの治癒」
デニス・ダンヴァーズ

  猫の名前は「ベンジャミン」。永遠の4歳で脚に白い長靴を履いたような灰色の縞猫。去勢済み。


「化身」
ナンシー・スプリンガー

猫の名前は「フレイヤ」。北欧神話の女神の化身で黄金色の猫。


「ヘリックス・ザ・キャット」
シオドア・スタージョン

  猫の名前は「ヘリックス」。金庫破りをして射殺される喉と足先の白い黒猫。



〈宇宙編〉


「宇宙に猫パンチ」
ジョディ・リン・ナイ

   猫の名前は「ケルヴィン」。宇宙船パンドラの保全士。襲ってきたスムート星人の宇宙船を撃退する。しっぽは黒と白。


「共謀者たち」
ジェイムズ・ホワイト

   猫の名前は「フェリックス」。人間の目を盗んで実験動物のネズミとモルモットたちを宇宙船から脱出させようと画策する黒猫。


「チックタックとわたし」
ジェイムズ・H・シュミッツ

  猫の名前は「チックタック」。その正体は惑星ジョンタロウの土着の知的生物カンムリネコの子供。本来の体毛は黄褐色がかった灰色だが、体の色は自由に変えられる。


「猫の世界は灰色」
アンドレ・ノートン

   猫の名前は「バット」。宇宙作業員スティーナといっしょに旅をしている灰色の雄猫。


「影の船」
フリッツ・ライバー

    猫の名前は「キム」。宇宙船ウインドラッシュの住民でネズミとりの名手。黒猫。



   この前読んだ「夜の夢見の川」と同じくシオドア・スタージョンの名前に惹かれて買った本だったが、他の作品も面白かった。
   この中で特に傑作だと思ったのは、デニス・ダンヴァーズの「ベンジャミンの治癒」。自分の飼っている猫が不老不死である事をひた隠しにする主人公と、彼の人生の最期まで添い遂げようとした猫。軽妙な語り口だが、結末には泣きそうになった。次に良かったのはフリッツ・ライバーの「影の船」。目的を見失い彷徨う宇宙船の中で、記憶と視力を失くした主人公が見た退廃した世界の物語。フリッツ・ライバーといえばガミッチという名の猫が登場するシリーズが知られているが、それとは全く違うタイプの話だった。


   最近自分は活字を読むと眠くなる病気に罹っていたが、この本を読んだおかげで少し治ってきたような気がする。まだ読んでない本が部屋に何十冊と積んであるので、片っ端から読んでいこうと思う。さて、次は何を読もうか。



2020年2月11日火曜日

奇妙な味


今日読み終えた本


創元推理文庫
12の奇妙な物語
夜の夢見の川
  著者  : シオドア・スタージョン、G・K・チェスタトン=他
編者  :  中村  融


2017年4月28日 初版
株式会社東京創元社  発行


「奇妙な味」をテーマにしたアンソロジー。

収録作は以下の12篇。




「麻酔」
クリストファー・ファウラー

歯科医になりすました殺人鬼の話。



「バラと手袋」
ハーヴィー・ジェイコブズ

偏執狂的収集家の話。



「お待ち」
キット・リード

とある田舎町の異様な性風俗の話。



「終わりの始まり」
フィリス・アイゼンシュタイン

   死んだ母親が1日だけ死んでなかった事になる話。



「ハイウェイ漂泊」
エドワード・ブライアント

高速道路にまつわる大学教授のオチの無い話。



「銀の猟犬」
ケイト・ウィルヘル

ノイローゼの主婦が自分になついている野良犬を射殺する話。



「心臓」
シオドア・スタージョン

   別れた男の心臓だけを呪ったらその男が心不全で死んでしまった話。



「アケロンの大騒動」
フィリップ・ホセ・ファーマー

死人を蘇生する詐欺師達の話。



「剣」
ロバート・エイクマン

とある行商人の不思議な初体験の話。



「怒りの歩道 ー 悪夢」
G・K・チェスタトン

あらゆる物に敬意を払う変な男の話。



「イズリントンの犬」
ヒラリー・ベイリー

しゃべる犬が家族の秘密をばらす話。



「夜の夢見の川」
カール・エドワード・ワグナー

精神病の女の妄想話。





   3年近く前に出版された本だから、この程度のネタバレは赦して欲しい。どの作品も読んだ後でモヤモヤが残ってスッキリしない話ばかりで、人によって好き嫌いが分かれると思う。自分はシオドア・スタージョンの名前にひかれて買ったので、他の作品はオマケみたいなものだったが、飽きずに最後まで読む事が出来た。