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2022年3月16日水曜日

富士鹿の剪定鋏

 


富士鹿
A型剪定鋏200mm 




   ▲メルカリで「富士鹿」のA型剪定鋏を入手した。富士鹿(フジシカ)は兵庫県の「冨士鹿刃物製作所」の商標。そう言えばこの鋏の出品者様も兵庫県の方だった。





▲鏡面仕上げされた切刃の平に打たれた「登録  富士鹿」の刻印。





▲刃の部分は真鍮で鑞付けされている。





▲受刃も同様。






▲受刃には「特製」の刻印。

   メルカリでこの鋏の画像を見た時、製造元はおそらく工藤製鋏所だろうと思ったのだが、届いた品物を検分してみて、自分の予想が外れている事に気付いた。では、どこで作られた物かと言うと、








▲なんと「最上川製作所」だった。





▲全体のフォルムも同じだし、






▲柄の内側のディテールも共通している。






▲やはり実物を入手してみないと、真相に迫る事は出来ないものだなあと痛感したのだった。















2021年10月11日月曜日

最上川のA型剪定鋏 その3

 


最上川
A型剪定鋏  180mm  (全鋼)



   ▲今年の9月にメルカリで購入した「最上川」のA型剪定鋏。すでに同じサイズの鑞付けのA型を7月に入手しているが、今回新たに見つけたのは鑞付けではなく全鋼のタイプ。出品者は山形県内在住の方。







   ▲刃を開いた状態。「最上川」の剪定鋏の製造元は山形市にあった「株式会社 最上川製作所」。







   ▲同じ最上川の、鑞付けA型との比較。全体的な形状はかなり違っている。今回入手した全鋼の方はずいぶんと軽量化されている。






▲切刃の「最上川」の刻印も微妙に違う。





   ▲受刃の刻印は、鑞付けの方が「特製」なのに対し、全鋼は「特級」となっている。


    A型の剪定鋏は一般的に鑞付けが先に作られて、後に全鋼に変わっている。最上川製作所がいつ頃まで操業していたのか分からないが、この全鋼の鋏は割と最近になって作られた物だと思われる。
















2021年8月21日土曜日

最上川のA型剪定鋏 その2

 

最上川
A型剪定鋏  180mm


  ▲メルカリで7月に「最上川」のA型剪定鋏を入手した。今年の1月に200mmを入手しているが、今度は180mmである。出品者様は度々お世話になっている岐阜県で庭師をされている方。この前「村久」の140mmを購入した後で、「お探しの物がありましたらお探しします」とメッセージをいただいたので、お言葉に甘えてリクエストした物のひとつがこの最上川の鋏だった。
   






    ▲「最上川」は、山形市の「株式会社 最上川製作所」の商標。明治25年頃に山形市鍛冶町(今の山形市宮町5丁目)の「最上川屋」の野鍛冶職人だった松本彌三郎氏が剪定鋏を作ったのが山形における剪定鋏作りの嚆矢だと云われている。











   ▲この鋏も200mmと同様、やはり鑞付けである。







  ▲柄の内側のモールドは「最上川」以外では見た事のないタイプで、この鋏が自社生産だったという説の根拠のひとつになっている。







▲箱の中に鋏と一緒に入っていた物。






  ▲180mmと200mmの比較。最上川の鋏についてはまだ知らない事が多く、A型にこれ以外のサイズが存在したかどうかも分からない。















2021年1月15日金曜日

最上川のA型剪定鋏

 

最上川
A型剪定鋏  200mm




   メルカリで「最上川」のA型剪定鋏を購入した。

  「最上川」は、山形市の「株式会社 最上川製作所」の商標。明治25年頃に山形市鍛冶町(今の山形市宮町5丁目)の「最上川屋」の野鍛冶職人だった松本彌三郎氏が剪定鋏を作ったのが山形における剪定鋏作りの嚆矢だと云われている。




    ▲切刃の平には「商標登録 最上川」の刻印が打たれている。届いたこの鋏を手に取ってみて初めて鑞付けである事に気付いた。







  ▲最上川にA型の剪定鋏がある事は知っていたが、鑞付けだとは思っていなかった。

  でも本当にこれは最上川で作った物だろうか。







▲受刃には「特製」の打刻がある。

    A型の剪定鋏は、松本彌三郎氏の弟子に当たる初代「村久」の衡田久作氏が最初に作ったと云われている。もしこの鋏が最上川で作った物だとすると、師匠が弟子を真似したという事になる。だが、最上川以外のメーカーで作ったという決定的な証拠も今のところ見当たらない。


   ただ、こういった発明や実用新案を特定の個人や企業が独占せずに、地域で共有出来た柔軟性こそが、その後の山形産剪定鋏の市場を拡大し、延いては山形の産業の発展に貢献したのであろう事は容易に想像出来る。

2020年4月28日火曜日

最上川のB型剪定鋏 その2


最上川
B型剪定鋏  7吋 皮止


▼Before





▼After



 「最上川」の中古のB型剪定鋏をヤフオクで落札した。今年の1月に200mmを入手しているが、今回のは180mm(7インチ)である。
    中古だから当然錆だらけだったので、紙ヤスリの400番、1000番、2000番で錆を落とし、コンパウンドで磨いてみた。柄の部分は薬品で酸化処理をした後、メタルプライマーを塗って錆止めをした。止め皮には靴墨を摺り込んでみた。





▲切刃の平には「商標登録  最上川」の刻印。






▲受刃の刻印は「特製」。







最上川の200mmの剪定鋏との比較。


▲左が180mm、右が200mm。
どちらも入手後に虫バネを取り付けてある。
  紙箱のデザインが違うが、剪定鋏の箱はいくつかのメーカーで同じ物を共用していたようで、それにメーカー毎に用意したラベルを貼っていたのだろう。


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「最上川」は山形県山形市にあった「株式会社最上川製作所」の登録商標。山形の剪定鋏の元祖と云われ、日本で初めてB型剪定鋏を作ったのが初代の松本彌三郎氏だとも云われている。彌三郎氏の元では初代「村久」の衡田久作氏が、2代目の安太郎氏の元では初代「山広」の山川広一氏が鋏造りを学んでいる。

2020年1月8日水曜日

最上川のB型剪定鋏


新年明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い致します。

というわけで早速。

最上川  剪定鋏  B型200m/m 


「最上川」の剪定鋏を手に入れた。


「最上川」は山形県山形市にあった「株式会社最上川製作所」の登録商標。山形の剪定鋏の元祖と云われ、日本で初めてB型剪定鋏を作ったのが初代の松本彌三郎氏だとも云われている。彌三郎氏の元では初代「村久」の衡田久作氏が、2代目の安太郎氏の元では初代「山広」の山川広一氏が鋏造りを学んでいる。


   ちなみに、B型の原型はおそらくヨーロッパのワイン産地でブドウの剪定に使用されていた、いわゆる「ボルドー・スタイル」の剪定鋏だろう。山形では養蚕が盛んだったので、桑の剪定の為にかなりの需要があったらしい。







  ▲切刃の平には「最上川」の刻印がある。刃は鏡面仕上げになっている。





▲受刃には「特製」の刻印。







   ▲箱の中にあった紙片。「若し御気に召さぬ際は~何時なりとも御取替申し上げます。」という一見低姿勢の文面に自社製品の品質への絶対の自信が窺える。





   自分が思うに、剪定鋏のコレクションというのは、子供の頃の昆虫採集みたいなものだ。そもそも物欲と知的好奇心は根元が同じものだと思う。実物が持っている情報量は論文や映像などの比ではない。現物を手に取ってみなければ理解出来ない事が沢山あると思う。

   そういえば剪定鋏はクワガタムシに似ているような気もする。